そのビロクールの絵は、草花や蔦の中にポッカリとあいた窓のような空間のかなたに、川、広々とした農場、トラクター、そして点のような二人の働く男達が見える。人物が描かれているだけでも異例なのに加えて、手前の草叢をよく見ると、かごの中に白いハンカチが敷かれ赤い小さな薔薇が置かれているではないか。『コルホーズ農場』(1948−1949)は、トラクター事故により農場で父親と息子を亡くした家族が、友人カテリーナに思い出となる絵を依頼して描かれた。川の向こうの美しい草原に今も元気にしている天国の父と子を表現しているのである。
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