グスタフ・マーラーの交響曲第2番『復活』は、全5楽章約80分かかる大作である。モーツアルトの後期交響曲一曲分に匹敵する長さの第一楽章は、マーラーの交響曲第一番『巨人』で描かれた一人の勇者の葬礼である。即ち「何故」と執拗に繰り返し叫ばれる人生への根源的な問いかけ、走馬灯のように回想される勇者の在りし日々からなる、交響詩/葬送行進曲となっている。
苦悩を未だ識らず無垢で幸せだった青年時代を追憶する第2楽章。
第3楽章は、煩悩に充ち支離滅裂な人間界を魚にたとえ、彼の歌曲『魚に説教するパドヴァの聖アントニウス』が引用される。聖アントニウスが天国を説き地獄図を表現するたびに感嘆の声をあげる魚達が、次の瞬間には全てを忘却して空疎に泳ぎ(踊り)続けるのである。 |