1991年の独立まで、ウクライナの首都キエフは実に1000年以上にわたって、ロシア、モンゴル、リトアニア、ポーランド、そしてソ連の支配をうけ、時には何百年もの熾烈な略奪を経験した。馬にのって神出鬼没に民衆を助けるコザックたちの活躍は、こうしたスラブ民族の厳しい歴史から生まれた。そもそもキエフは交易の要衝として栄えた。バレエ『白鳥の湖』で、王子の花嫁に選ばれようと各国から王女たちが駆けつけるのも、11、12世紀に栄華を極めたキエフがモデルとなっている。藝術を篤く保護し、今世紀にはいってもプロコフィエフ、ホロビッツ、オイストラフ、スターン等を輩出し、キエフ国立(シェフチェンコ)劇場は東欧三大バレエの一つに数えられている。
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