曲目解説集

モーツァルト ピアノ協奏曲 第27番

ヴォルガング・アマデウス・モーツァルト(1756−1791) 

ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K(ケッヘル番号)595 (1791年3月初演)

彼の最後のピアノ協奏曲となった本曲は、人気は去り借金はかさみ健康も著しく害していた1790年冬ー1791年初頭に書かれた。 しかしながら、そうした背景を全く感じさせず、豊穣と法悦の調べ、歌劇のアリアを思わせる美しい旋律群、陽が射したり陰ったりするような長調・短調間の変容、 楽章間の統一感、無駄のないオーケストレーションなど、誠に隙のない格調の高い作品である。

<第1楽章 Allegro >

オペラ的メロディー、長調・短調の交差、意表をつく転調や半音階旋律が、さり気無い仕様で展開する。 肩の力が抜け切った粋の世界とでも言えるだろうか。

<第2楽章 Larghetto >

シンプルで賛美歌のような豊穣な美の世界が展開する。 中間部では遥か遠い調(変ト長調:b 6つのキー)まで出かけ、彼岸の世界を垣間見るが如くである。 第2楽章の主題は、やがて第3楽章の第2主題として回想・再現される。 当時としては斬新な書法である。

<第3楽章 Allegro >

主題が何度も戻ってくるロンド(ラウンドの意)形式と、スキップを踏みたくなるような8分の6拍子を用いて、優雅に明るく協奏曲を締めくくる。 この主題を使って『春を待ち焦がれる』という歌 (歌詞「甘美な五月よ、早く来て木々を再び緑に変えてくれ。」)まで作ったモーツァルトにとって、1791年春が最後の春となった。

2008年7月11日セントラル愛知交響楽団「コンチェルトシリーズNo.29」演奏会のプログラムの曲目解説として書かれたものです。


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