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ロッシーニ 『セミラーミデ』序曲
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ジョアキーノ・ロッシーニ (1792−1868) 作曲
歌劇『セミラーミデ』序曲 (1823年初演)
『ウィリアム・テル』序曲などで有名なロッシーニは、歌劇『アルジェリアのイタリア女』(1813)『セビリアの理髪師』(1816)などの青年期の大成功で終生悠々自適の美食生活を送った。 対照的に困苦を一挙に背負って生きた観のあるベートーヴェンが晩年人々から忘れ去られた一因は、聴衆の勘所(かんどころ)を押さえたロッシーニの優れたオペラが欧州を席巻した事にもあるとされる。 本曲は、軽妙な印象を与えるけれども、バビロン(紀元前のバグダッド付近の王国)の野心的な女王セミラミス(アマゾネスの草分け的イメージ)を主人公にしたヴォルテールの悲劇に基いている。
序奏部分の祈りのようなホルン4重奏は、騎士達が女王セミラミスに忠誠を誓う重唱から引用されている。 本体の Allegro 部分では、 いわゆる「ロッシーニ・クレッシェンド」、すなわち彼が得意とした、じりじりと徐々に盛り上げてゆくクレッシェンドの技法が顕著であり、これから始まる物語への期待感を煽(あお)る。 ピッコロやクラリネットなど木管群が活躍する第2主題も聴き所であろう。
2008年7月18日セントラル愛知交響楽団定期演奏会のプログラムの曲目解説として書かれたものです。
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