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ブルッフ スコットランド幻想曲
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マックス・ブルッフ(1838−1920)
スコットランド幻想曲 作品46(1880年サラサーテが初演)
他国からの圧政、血みどろの歴史を持つスコットランドに伝わる4つの歌が題材として使われ、序奏と4つの部分から構成される曲である。 ちなみにスコットランドの国民的3大楽器は、フィドル(ヴァイオリン)、ハープ、バグパイプであり、前者2つが全曲を通して重要な役割を演ずる。
<序奏> Grave
葬送行進曲と、ソロ・ヴァイオリンによる哀愁と嘆きのメロディー。そのまま第1部に参入する。
<第1部> Adagio Cantabile
恋人(勇者)の帰還を待つ心を謳う愛の歌、”Auld Robin Morris" が引用される。
<第2部> Allegro: Dance
「彼からのキスも粉だらけだった。」と歌う"The Dusty Miller"(粉まみれの粉挽き屋)は、素朴でエネルギーに溢れた踊りである。
<第3部> Andante sostenuto
"I'm a'down, down. for lack o'Jonnie" は、「私は深く落ち込んでいる。ーーージョニーがきっと私のところへ来てくれて、私を赦してくれる。」と歌う。 ジョニーは「神」を隠喩すると考えられる。 深みのある祈りの曲。
<第4部> Allegro guerriero
ヴァイオリンとハープの二重奏で始まる。 Guerriero とはゲリラの語源でもあり、戦いの音楽を表す。 即ち、スコットランド古来の戦いの歌 "Hey Tutti Taitie" が使われる。 その歌詞は1314年バノックハムでのブルースの戦勝を描き、「鎖と奴隷制を強いるエドワード(英国王)の軍勢を今日こそ打ち破るのだ。」と勇壮に謳う。
最後に、勇者達の無事の帰還を待ちわび祈る恋人のメロディー(第1部の"Auld Robin Morris")が彼らの脳裏に浮かぶが如く短く奏でられ、再び最強音で戦いの歌が締め括られる。
2005年7月15日 セントラル愛知交響楽団定期演奏会プログラムの曲目解説として書かれたものです。
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