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ヴェルディ 歌劇「運命の力」序曲
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ジョゼッペ・ヴェルディ(1813−1901)作曲
歌劇『運命の力』序曲 (1861年作曲、1868年改訂)
プログラム・ノート
殺人が日常茶飯事のオペラの中でも最も血なまぐさい筋書きの為、傑作である序曲だけが専ら演奏される。冒頭の金管が鳴り響くと同時に聞き手は「悲劇的運命」を諒解する。続く「運命主題」のあと、木管による悲しみのアリア、そして弦の祈りの歌(第2幕、ドン・アルバロ)が立ち現れる。昂揚する祈りも激しい戦い・葛藤に打ち消され、短い木管ソロ(クラリネット、オーボエ、フルート)は孤独を謳う。ヒロイン・レオノーラのアリア(第3幕)がクラリネットで奏でられ、伴奏するハープは天上の祝福を顕す。 金管のコラールそして怒涛のフィナーレは、これからオペラで描かれる荒れ狂う「運命の力」を明快に予告する。 ちなみに序曲が、こうしてオペラ全体の本格的な縮図として書かれるようになったのは、モーツアルトの歌劇にその兆候はあるものの、ヴェーバー「魔弾の射手」序曲が魁(さきがけ)であり、ワーグナーがその哲学を確立した。
小松長生 2004年7月
2004年7月16日セントラル愛知交響楽団定期演奏会のプログラム解説として書かれたものです。
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