|
ウェーバー 「魔弾の射手」序曲
|
カール・マリア・フォン・ウェーバー(1786−1826)作曲
歌劇「魔弾の射手」序曲 (1821年初演)
前奏部を一聴しただけでワーグナーの大胆な管弦楽法がウェーバーから大きな影響を受けたわけが了解されよう。
即ち、冒頭の黎厳な弦楽器によるユニゾンとホルンの四重奏は神秘的なボヘミアの森を顕わし、トレモロ・低弦ピツィカート・ティンパニーは悪魔に魂を売ったカスパールが魔弾を鋳造する不気味な狼谷を絵画のように表現する。
前奏に続く第1主題は、魔力の誘惑に動揺するマックスの旋律、対照的な第2主題は、マックスを深く愛するアガーテの悦びの歌である。 シンコペーションは悪魔の誘惑に悶える心の様を表す。 最後は、勇気ある罪の告白とそれに対する寛大な処置への人々の歓び、そして神への讃歌で締めくくられる。ワーグナーが創った「マイスタージンガーの名歌手」の先駆とも言える。
加えて、序曲が歌劇全体の縮図として書かれ、またソナタ形式を初めて本格的に用いた点でも、画期的・歴史的な曲である。
2005年1月28日 セントラル愛知交響楽団定期演奏会プログラムの曲目解説として掲載されたものです。
|
Copyright© 2001 Chosei
Komatsu. All rights reserved
無断転載禁止 |
|