曲目解説集

チャイコフスキー ピアノ協奏曲 第1番

ピエトル・イリッチ・チャイコフスキー18401893
Pyotr Ilyich Tchaikovsky


ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23 1875年初演)
Concerto for Piano and Orchestra No. 1 in B-flat Minor Opus 23       


東都サンクトペテルスブルグからモスクワ音楽院創設時の音楽理論教授へと引き抜いてくれた恩人ニコライ・ルービンシュタインに捧げられたが、無価値、演奏不能と彼から誹られたのは有名。 この協奏曲が世界中で大成功を呼ぶに及んで、遂にはニコライ自身も各地で取り上げるようになった。

<第一楽章> Allegro non troppo e molto maestoso Allegro con spirito

ホルンで始まる長大な前奏に続く第一主題は、チャイコフスキーの好んだ避暑地小アジア
(現在のウクライナ地方)で聴いた、盲目の物乞いが歌うメロディーである。 中間部では
後期作品で定番となる『最後の審判』ダンテの『神曲・地獄編』の世界がすでに現出している。

<第二楽章> Andante Semplice

ギターの伴奏を擬した弦のピッツィカートに乗って、フランス民謡『踊って笑って楽しまなくちゃ』(“Il faut s’amuser, danser et vive” )がフルート・ソロ等で引用される。 軽快なスケル
ツォの部分と好対照をなす。

<第三楽章> Allegro con fuoco

エネルギー旺盛な騎馬民族で知られるウクライナ地方に伝わる民謡『イヴァン、早く来い!』(“Viydi, viydi Ivankue”)が引用される。活力と勝利感が溢れる傑出したフィナーレである。



2005年9月8日、11日OSN日本ツアープログラムの曲目解説として書かれたものです。


Copyright© 2001 Chosei Komatsu. All rights reserved
無断転載禁止