横顔

日本人ばなれしたスケールの大きい指揮者
ピアニスト
神谷郁代さん


長生さんとは1990年に、長生さんの日本デビュー公演で、ラフマニノフのピアノ協奏曲第二番で初めて協演しました。
とにかく指揮が誠実なんです。演奏する人を緊張させず、細かいところまで神経を配ってくださる。協演者としてはとても弾きやすかった。才能のある日本人ばなれしたスケールの大きい指揮者がでてきたと、思ったのを覚えています。

2,3年後客席で長生さんの演奏を聞く機会がありました。協演するのと客席で聴くのとはまた違うので、ワクワクしながら聴かせていただいたのですが、協演したときと全く同じ印象を持ちました。フレーズの細部にいたるまでの心配りに裏打ちされたスケールの大きな音楽づくり。協演したときよりもさらに大きくなられているとおもいました。

私は音楽において”自然”ということが一番好きです。自然に音楽が展開できる。よくロマン派の曲で表現を創りすぎる指揮者もいますが、長生さんは基本的なリズム、基本的な音楽の流れを大切になさるかたなので、とても自然で、そういう点でも共鳴するものがあります。

演奏を離れて仲間で話したりするときもまとめ役には、やはり長生さんなのです。てきぱきと仕切られる姿を見ていると、「あぁ、この人は生まれながらにしての指揮者なんだなぁ」とつくづく思います。それにしても彼のあのすごいパワーはどこから生まれてくるのでしょう。周りにいるものは元気をいただいけていいのですが、ご自身がお疲れにならないかと、時々思います。でもそれも心配ないようです。(笑)

今はいっときに派手に活動される方も多いようですが、私はその才能をじっくりとあたためて、もっと先を見据えた息の長いマラソンランナーのような指揮者になっていただきたいと思っています。そして同じ音楽家として、多くの人に幸せを与えられるような音楽を聞かせていただきたいですね。(談)


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