エッセイ

ヴァン・クライバーン
ピアノリサイタル 報告記

2005年2月12日
於:コスタリカ・サンホセ市 国立劇場

 米国テキサスとコスタリカに住むコルバート家とギドー・サエンス文化大臣の招きで、演奏会が実現しました。2004年11月末の国立響による国立劇場でのマーラーの交響曲第三番のコンサートに、偶然コルバート家の別荘に休養にきていたクライバーン氏も出席されたのが縁で、実現したものです。

 幾多の甘苦を経て今年で70歳になる彼が、ブラームス、ショパン、ドビッシーからなる2時間40分(休憩含む)の長大なリサイタルを、隙なく歩むような丁寧さで弾ききりました。 小品の曲間も聴衆に拍手を挟むタイミングさえも与えない集中力でした。ショパンの葬送行進曲の中間部では、物質界を離れた安息の楽園が開示され、ドビッシーでは妖精が踊っていました。

 最後のアンコールの前に、クライバーン氏は『一期一会』にあたる話をし、この機会を創ってくれた関係者と今夜の暖かい人々との出会いに感謝の念を表し、聴衆は皆、彼の演奏からも溢れる至高の誠実さを感じました。

 そして、私の好きな歌でもあるシューマンの歌曲 ”Widmung" をリストがピアノ独奏用に編曲した曲が演奏されました。曲尾の゛アヴェ・マリア”の引用に経ち至ったときの感動は筆舌に尽くし難いものであった事をご報告いたします。


<ヴァン・クライバーン 演奏会 曲目>

Brahms     Capriccio in G minor, Opus 116, No.3
               Intermezzo in E-flat minor, Opus 118, No.6
Chopin      Sonata No.2 in B-flat minor, Opus 35
                         Grave,  Scherzo, Marche Funebre, Presto
               Polonaise in A major, Opus 40, No1
               Ballade in F minor, Opus 52
               Scherzo in C-sharp minor, Opus 39
                      - Intermission-
Debussy   Etude pour les octaves
               Jardins sous la pluie
               Soiree dans Grenade
              La terrasse des audiences du clair de lune
              Reflets dans l'eau
              L'isle joyeuse
Encore:    Schumann/List    " Widmung"

< ヴァン・クライバーン氏 略歴>
米国ヒューストン出身。冷戦下の1958年第1回チャイコフスキー国際コンクールに23歳の若さで優勝し国民的英雄になる。ヴァン・クライバーン国際コンクールは、最も権威あるコンクールの一つとされる。2003年ブッシュ大統領から自由勲章を、2004年にはプーチン大統領から親善勲章を授与される。


Copyright© 2001 Chosei Komatsu. All rights reserved
無断転載禁止