天才ヴァイオリニスト・五嶋みどりさんの一家との出会いは1983年夏のアスペン音楽祭に遡る。私は北米に指揮留学をして1年足らず。言葉に不自由し右も左もわからないうちにアスペン音楽祭の奨学生に選ばれて、少人数での9週間にわたる特訓に音をあげているときであった。私の指揮したコンサートで、花を一輪持ってステージに駆けつけてくれたみどりさんは、黒ブチのメガネとおカッパ頭で確か11歳くらいであったであろうか。